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具体的には、被相続人が地主から土地を借りており、その上に被相続人所有の建物を建てているような場合で、被相続人が亡くなった場合、相続人が建物を相続した上で、その建物を第三者に売却して金銭に換価することはできるのでしょうか?

地主から土地を借りる、と言っても借りる目的が重要となってきます。土地を借りる目的には様々なものがあり、例えば、①駐車場として借りる➁資材置き場として借りる③畑仕事のために借りる④建物を所有する目的で借りる、など様々です。

① から③の場合は、借主側の立場は必ずしも強くなく、かつ、財産的価値も乏しいものとなっています。他方、④は借地権として認められ、借地借家法でも借主を手厚く保護しています。借地権を持っている、という場合にはその土地の財産的価値を60%から90%近く持っているということを意味します(その割合は一般的には路線価図に記載されています。)。

ですから、被相続人が④で述べた借地権を持っている場合にはそれを相続することには大きな意味があると言えます。他方、前述の①、②、③といった目的の賃貸借の場合にはさして財産的価値があるものではなく、自己が利用する必要性が高い、とか、非常に地代が安い、という事情がない限り相続することは、あまり意味はないかもしれません。

借地権に財産的価値があることは間違いないとしても、自己利用する必要がない場合にはこれを第三者に売却することも可能となっています。
勿論、借地権を地主に無断で第三者に譲渡することは民法で禁止されています。

他方、借地借家法は地主の承諾がなくても、その承諾に代わる裁判所の許可というものを定めています。
ですから、地主が借地権を譲渡することを承諾しない場合であっても諦める必要はなく、裁判所に承諾に代わる許可を求めることにより第三者に借地権を譲渡して、その土地の60%から90%相当額の金銭を取得することも十分可能です。

借地権が譲渡されても地主に取り立てて不利益や不都合がないという場合には裁判所は借地権の譲渡に代わる許可を与えてくれます。なお、譲受人候補者が資力に乏しい、とか、反社会的勢力に属しているような場合には無理でしょう。その場合には承諾料として、その土地の更地価格の10%程度(事案によって異なります。)の金銭の支払いが裁判所により命じられます。

なお、借地権譲渡の許可の申し立てがなされると、地主は「借地権を第三者に売るくらいなら、自分が適正価格で買い取る。」ということを主張することが出来ます。そして、その適正価格とは、裁判所が専門の鑑定委員の意見を聞きながら決定していきます。
そして、借地権の売買については、最近は比較的頻繁にやり取りされているので、不動産仲介会社も積極的に取り扱っています。

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