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他の相続人から生前・没後に下ろされた預金について

生前であれ、没後であれ、相続人の1人なりが不当に被相続人の預金・貯金から金を下ろした場合には問題となり得ます。

没後に遺言書に基づき下ろした場合、遺産分割合意前に同一の金融機関から150万円を上限として預金の引き下ろしをした場合(民法909条の2参照)は、問題とはなりませんが、それ以外の場合には問題となり得ます。
額とその使途が大きなポイントとなるでしょう。

1.生前に引き出された場合
使途に関連して言えば、預金の引き出しがなされた時点で被相続人が置かれていた状況が重要でしょう。
即ち、当時、被相続人が健康で認知能力も十分にある場合、一般的には被相続人が自ら預金を管理できるので、被相続人の意思に反して下ろされた場合、また、被相続人に有用な使途でない場合には被相続人がそれを認めたという積極的な事情が無い限り、預金を下ろした人が勝手に費消した、という認定がされる可能性は高いでしょう。
また、預金を相続人の1人が管理していたが、没時には預金が不自然に減っていたという状況もあります。この様な場合、裁判所においては、被相続人の毎月の必要とされる金員を算出し(食費・医療費・被服費・施設への入居費・光熱費等)、それらを控除してもなおも不自然に預金残高が少ないのであれば、その少ない分は当該預金を管理していたが者が費消した、という認定をすることがあります。実際、私が担当した過去の裁判でもこの様なアプローチにより裁判所は判断してきています。

2.没後に引き出された場合
遺言書で、当該預金を相続できるとされている相続人が遺言書を使って当該預金を下ろすこと自体問題はありません。また、改正民法で定められた150万円を上限として相続人の1人が下ろすことも問題はありません。もちろん、この場合はその下ろした分は後の正式な遺産分割協議においては考慮されます。
一般に金融機関は、被相続人が亡くなった事を知ると預金を凍結します。
しかし、金融機関が知る前に預金を下ろすことは事実上可能となっていきますのでその場合、その使途が問題となります。葬儀代、墓石代、49日代などに利用される場合には問題とはなりにくいのですが(厳密には葬儀代等も誰に負担義務があるかという法律的な問題はあります。)、それら以外に使われた場合には、その人が遺産分割前に先取りをした、という評価となり、遺産分割協議において考慮される(即ち、その分だけ相続分が減る、ということです。)、こととなるでしょう。

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