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特別受益の主張をしたい

特別受益については、遺産分割協議においては比較的多く問題となり得ます。特別受益が認められた場合、特別受益を受けた相続人は、被相続人が亡くなった時点の相続財産の取り分がその分経ることとなります。
特別受益の内容は様々でありこの点からしても特別受益が問題となり遺産分割協議がまとまらないこともよくあります。この場合は、家庭裁判所での調停や審判で解決されることとなるでしょう。なお、調停は半年から1年程かかり、それ以上になる例も珍しくないでしょう(調停の1回あたりにかける時間も2時間程度です。)。他方、審判は1回か2回程度で終わる例が多いです(審判において1回あたりかける時間も調停のように長い訳ではなく30分程度で終わる例が多いです。)。審判は審判官(裁判官がつとめます)が最終決定を下す事となります(不服がある当事者は高等裁判所に不服申し立てが出来ます。)。

1 特別受益の種類

典型的には不動産の贈与でしょう。被相続人が生前にある相続人に不動産を贈与した場合にはわかりやすいでしょう。不動産登記も一般には移転しており問題とはなりにくいでしょう。

ある相続人が第三者から不動産を購入する際に一定額の援助を被相続人から受けた、という場合でしょう。特に他の相続人から見て、当該特別受益を受けたとされる相続人が高価な不動産を購入した場合には問題となりやすいでしょう。この場合、被相続人が相当額援助したのではないかということも疑われることがありますが、その購入資金の使途がきちんと説明できれば問題無いでしょう。しかし、そうでない場合でかつ、その時期に被相続人の預貯金が不自然に減じている場合には一層問題となり得ます。
被相続人名義の預貯金の使途不明金についても比較的多く問題となります(後述)。

2 生前贈与の証拠となるもの

特別受益があったか無かったかが問題となった場合には基本的には『ある相続人は生前贈与を受けていた』と主張するものがその存在を証明していく必要があるでしょう。
もっとも、その様な生前贈与の存在が有る程度裏付けられた場合には、今度は逆にその存在を否定するものが積極的にその不存在を証明していく必要があるでしょう。

3 被相続人名義の預貯金の使途不明金について

被相続人が息子夫婦と同居している場合、被相続人が自らの意思と責任で通帳を管理していれば問題は起きにくいのですが、被相続人が高齢になり、また、病弱になるとそうとも行かず、長期間にわたり、同居する息子夫婦が被相続人の通帳を管理することは珍しくないでしょう。
その通帳から、出金される場合逐一きちんと記録が残され、かつ、被相続人の用途に専ら使用されているのであれば問題はないでしょう。
しかし、管理している期間が長期間になるような場合には、現実にはこの様な例は稀有であり、どうしても息子夫婦の家計と被相続人の家計(預貯金からの出金)は混同してしまいがちです。
そして、他の相続人からすると、不自然に預貯金が減っているため、その減じている部分を同居の息子夫婦が得た特別受益である、と主張することがあります。

この様な場合、同居の息子夫婦は通帳を関していた以上、不自然に減った預貯金の額について一定の説明(漠然と、『被相続人の生活費として毎月30万円使った』とだけ主張するのでは説得力はないでしょう。)をすることが求められます。これらの説明が(完璧ではないにしろ)有る程度説得的になされ得ないときにはその額については特別受益と裁判所も解することとなります。

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