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経験豊富な弁護士集団による相続問題のための法律相談は中村・安藤法律事務所

遺産分割調停の流れ

調停について
相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に対し遺産分割調停の申立てを行なうこととなるでしょう。即ち、当事者間での話合いが功を奏さないときには裁判所での話合いをするしかないという事となります。調停とは、一言で述べると、「裁判所での話合い」という事となります。あくまで話合いですのでどんなに正論を述べても相手が納得しないと調停は成立しないという事となります。もっとも、裁判官と調停委員で組織される調停委員会(実際には、裁判官は同席せず、調停委員の2名によって進められます。)が、中立公正な立場で当事者双方の意向を聞いたうえで、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をし、合意に向けた話合いを進める為、調停が成立することが比較的多いといえるでしょう。1回の調停の時間は2時間から3時間前後のことが多いです。また、回数は4回・5回で成立するという例が多いと思われますが、もちろんその事案に即して解決されることとなります。

遺産分割調停では、遺産分割そのものだけでなく、兄弟間では幼少時代の両親からの扱いの差別やその時点での境遇の違い等、感情的な問題まで主張されることがよくあります。一応法律的には幼少時代の処遇の違いなどは特別受益の有無という形で問題とすることは出来るのですが、余り些細なことに踏み込むと徒に時間ばかりを浪費することとなり合理的ではないでしょう(例えば、長男は家計の問題で高校しか行けなかった一方で、次男は私立の医大に行ったという場合は、特別受益の問題となるでしょう。)これらの問題を漫然と採り上げていたのでは解決まで相当の時間を要し現実的ではありません。
また、時折見られるのは、被相続人と同居して、被相続人の家計を管理しその預金通帳を持っていた相続人の1人に対して、「不当に預金残高が少ない」「知らないうちに勝手に使い込んだ」という主張がされることがありますが、これについても多大な時間を使うことが多い例です。

調停では、以下の手順に基づいて、誰が(相続人の範囲)、何を(遺産の範囲)、どのような割合で(法定相続分等)、どのように分けるか(分割方法)という手順で進めていきます。

①相続人の範囲を確定する。
②相続人の法定相続分を確定する。
③遺産の範囲を相続人間で確定する。
④遺産の額を評価する。
⑤特別受益者と特別受益の有無とその額を決める。
⑥寄与相続人と寄与分の有無とその額を確定する。
⑦特別受益及び寄与分を踏まえて、遺産を法定相続に応じて分割する。

審判の手続
調停でも話し合いがまとまらない場合、調停は不成立として終了しますが、そのまま家庭裁判所において審判手続きが開始されます。審判手続では、調停のように1回あたりの時間も短く、また、審判の回数も1回・2回・3回程度であり(もちろん事案によっては多い回数のこともあります。)、長く続くことはありません。そして、審判官(裁判官)が遺産の分割方法を決め、結論が示されます。この結論には当事者の同意は必要なく、当事者はこれに従うこととなります(審判に不服があるときは、審判の告知を受けた日の翌日から起算して2週間以内に不服申立である即時抗告を高等裁判所に出来ます。)。この審判に従って不動産は登記され、また、預貯金もそれに従って各相続人で分配されることとなります。

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