遺言書で指定されていた人(受贈者)が事前に亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか?
遺言書で記載されていた受贈者が、相続が発生した時点においては既に亡くなっている場合にはどうなるのでしょうか?即ち、その受贈者がもらうと指定された相続財産はどうなるのでしょうか?
例えば、父(被相続人)と母と、長男と長女がいるケースを考えてみましょう。例えば、父が遺言書で、「妻に自宅の50%を相続させる、長男に自宅の50%を相続させる。」と記載した場合で、父が亡くなるよりも先に、母が亡くなっていた場合、相続はどうなるのでしょうか?
まず、遺言書で記載された「妻に50%を相続させる」という内容については民法944条で効力が生じないこととなります。そうすると、妻が相続することとなっていた自宅の50%分については宙に浮く形となります。
これについては、結論としては、長女が相続することとなります(長男と長女で25%ずつに分けるわけではありませんので注意が必要です。)。長男は、特別受益として既に遺言書により50%の相続財産を取得している(相続財産の50%相当の特別受益を得ているといえます。)ので、残りの相続財産については何も主張できないこととなります。