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経験豊富な弁護士集団による相続問題のための法律相談は中村・安藤法律事務所

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特別受益

  相続人の中に被相続人から生前に贈与を受けたりした者がいた場合に、相続に際して、この分を考慮した上で相続分が決まる、というものです(民法903条)。民法は、共同相続人間の公平の為にこれらを相続分の前渡しとみて、相続分を算定することにしています。 被相続人から生前贈与を受けた場合や廉価で不動産等を譲り受けた場合(株式や宝石なども対象となります。)が特別受益となり得ます。遺産分割や遺留分侵害請求の対象となる相続財産の額としては、相続人が生前贈与を受けた時期については10年以内に生前贈与を受けたものを加えて計算されます。 もっとも、遺留分侵害請求の額を計算する場合には、相続人が10年以上前に受けた生前贈与額は控除して、具体的額が定まることとなります。

   【 例 】

  父が亡くなり、父の没時の相続財産が1億円の場合。 兄弟2人で、弟が15年前に3000万円の生前贈与を受けていた 遺言書で、父の相続財産全てを兄に相続させる、と記載ある場合に弟は幾らの遺留分侵害請求が出来るでしょうか?

   【 回答 】

  弟の遺留分は4分の1となります。 そして、遺留分侵害請求の基礎となる相続財産は1億円のままです(3000万円の贈与は13年前のものですので加えません。)。 そして、1億円の4分の1である2500万円が弟の遺留分侵害請求の額となりますが、弟は既に3000万円の生前贈与を受けている(この場合は13年前のものであっても、考慮されます。即ち、3000万円が控除される、ということです。)ので遺留分侵害請求はできない事となります。

  特別受益に当たる場合でも、被相続人が「それを相続財産に含めないで良い」という意思表示をした場合(持ち戻し免除の意思表示と言います。)にはこれは相続分の前渡しとは考えられません。この意思表示をするには自筆遺言書のように特に要式の定めはなく、ワープロでも口頭でも法的には問題はありません。もっとも、口頭では後に紛争を招くのできちんと書面化しておく必要があるでしょう。また、黙示の『持ち戻し免除の意思表示』も裁判では認めた例もありますが現実には容易ではないので注意が必要です。

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